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塾講師のアルバイトをして管理人は何を得たか。金銭目的で始めたアルバイトの中にもさまざまな副産物がありました。

生徒から「いい先生」と言われた

管理人が大学卒業後に再び塾講師になった理由は、単純に「お金を稼ぐため」でした。
教えることは好きで得意ではあったのですが、特に子どもが好きだったわけではないし、子どもの夢を実現したいなどという綺麗な気持ちは持っていませんでした。

とりあえず授業をたくさんやってお金を稼ぎたい。
いつもそんな気持ちでやっていた塾の仕事なのですが、1月のある日の授業後、中学受験を目前にした小6女子生徒から「いい先生だよ!」と言われたのです。
これは別に「先生のことどう思う?」などと生徒に尋ねて返ってきた答えではなく、突拍子もなく言われたことです。
言われた直後は「へえー、俺っていい先生なんだ」と思う程度でしたが、「いい先生だよ」と言ってもらえるのは教師としては至福の瞬間ではないでしょうか。
ちなみに、その生徒は私が担当している生徒ではなく、たまに話し相手になったり質問に答えたりする程度の関わりでした。
また、いい先生だと思う理由も会話の流れから察して、「優しい」「あまり怒らない」といった、生徒にとって都合のいい性格だったからかもしれません。
しかし、それでも生徒から一方的にこんな褒め言葉をもらったのは、これが最初で最後だったと思います。
このときばかりは、それまで給料目的で大したこだわりもなく塾講師を続けてきたことを申し訳なく思いました。
生徒がこんなにも自分のことを頼りにしてくれているのに、自分は授業が終われば生徒のことを少しも考えていない。
私にとってこのとき以上の「研修」はありませんでした。

中学受験の知識が身についた

塾講師になって初体験だったとも言えることが、中学受験の勉強をしたことでした。
言うまでもなく中学受験をする生徒を担当することになったのです。
大学を卒業しているのだから、今さら勉強する必要はないだろうとも思いましたが、そういうわけにはいきません。
管理人自身は中学受験の経験はなく、高校受験・大学受験で通ってきたものですから、中学受験をする小学生を教えるには準備が必要でした。

しかし、それだけに気づかされたことも多くありました。

まず、中学受験を経験していないと習得できない問題の解き方があるということです。
具体的には線分図や面積図、旅人算といった、中学受験特有の算数です。
中学に進むと文章題はたいてい方程式を使って解いてしまうため、図を書いて考えるという解き方を、管理人はほとんどしたことがありませんでした。
理系大学出身の自分にも、まだまだ勉強しきれなかった部分がたくさんあったのです。
もちろん、こんなことを知っていても役立つことはありませんが、知識欲の強い管理人は非常に興味を持って中学受験用のテキストをやり込みました。
中学以降の方程式や文字に頼った解き方だけでなく、中学受験の世界には非常に斬新な問題の解き方があることを知りました。

それまで無気力な人生の原因が分かった (と思う)

塾講師になって知識面で良かったと思えることはもうひとつあります。
それは、自分が今までどれほど無気力であったかが分かり、同時にその原因も憶測ではあるが分かってしまったということです。
無気力というのは、管理人の大学時代のところで述べたとおり、ただ流されるだけの人生を送ってきたということです。
大学時代だけでなく、社会人になってからも無気力状態は続いていました。
自分から仕事を取りに行くような姿勢はなく、言われたことだけをやるだけで、いつ解雇されてもおかしくない窓際族でした。
実際は解雇される前に自分から辞めてしまいましたけれど。
つまり、他人に任せっきりの人生を送ってきたのです。
浅ましい人生です。
学生ニート、社内ニートという言葉は私のためにあったのかもしれません。

自虐はここまでにして、そんな自分に気づかされたのも塾講師になって公立中高一貫校を目指す小学生を担当したことがきっかけでした。
公立中高一貫校の入試問題は一般的な私立中学とは異なり、決まった正解のない問題が非常に多く出題されます。
それも私立中学の国語に出るような「この文章を読んだ感想を書きなさい」という程度のものではなく、「外国人留学生を歓迎する企画を考えなさい」とか「図書館までの道筋を案内しなさい」といった実用的な問題が多いのです。
私が小中高でやっていたような、「計算しなさい」とか「方程式を解きなさい」とか「積分しなさい」といった問題とはレベルが違います。
小学生が考えている問題のほうが圧倒的に難しいではありませんか!

そうなのです。
中学受験生、少なくとも公立中高一貫校を受験する小学生は、この段階から一人前の社会人になる準備をしているのです。
一般的な入試問題には決まった答えがあります。
少なくとも神奈川県の公立高校の入試問題 (共通問題) であれば、答えが1つしかない問題しか出ないでしょう。
もちろん、それが解けることも大事です。
しかし、人間の真の実力はそういうことでは測れないと思います。
真の実力とは、自分で答えを作る思考力・独創力といったものではないでしょうか。

管理人自身も受験時代は決してサボっていたわけではありません。
それどころか全力で勉強したという自負があります。
ただ、勉強した内容はすべて教科書に載っていることばかりでした。
既に誰かが解明済みのことを受け入れるだけの勉強は、本当の意味での勉強とは言えないでしょう。
管理人が大学時代および正社員時代にまったく活躍できなかった原因は、まさにここにあると思いました。

自分で課題を探してそれを解明する。
この姿勢を管理人は中学受験生たちから学ぶことができました。